50代になると、筋トレを始めても「若い頃みたいに成長できるのか?」と不安になりますよね。
私もまさに同じ気持ちでした。
数十年ぶりに本格的なトレーニングを始め、ジムで14kgのバーベルを担いでスクワットに挑戦。
最初の数回は「意外といけるかも」と思ったのですが、
回数を重ねるうちに太ももが悲鳴を上げ、フォームも崩れ、なかなか重量を上げられず……。
正直、心が折れそうになった瞬間もありました。
それでも、20代の女性トレーナーから教わった「フォームの意識」や「安全な重心の取り方」、
そして「焦らずに積み重ねる考え方」が、少しずつ体と心を変えてくれました。
この記事では、私自身の体験を通して
「50代でも安全に、確実に成長できるスクワットのコツ」
――つまり、“頑張りすぎない正しいやり方”を紹介します。
同じように「もう年だから」と感じている方へ。
今からでも、体はちゃんと応えてくれます。
2. 後ろ重心の怖さと、トレーナーの教え
スクワットを続けていると、誰もが一度は経験するのが“重心のズレ”です。
特に私のように、14kgのバーベルを担いでいると、ちょっとした体の傾きが命取りになります。
実際、ある日のトレーニング中、ふとした瞬間に重心が後ろにズレて「おっと!」とヒヤッとしたことがありました。
後ろに倒れそうになると、体がバーベルの重さごと持っていかれる感覚。
これは本当に危険です。
トレーナーがすぐに駆け寄ってくれて、こう言いました。
「後ろに倒れるのがスクワットで一番危険です。
立ち上がる時は“床を押す”イメージで、前に力を流しましょう。」
なるほど、と思いました。
私は“立ち上がる=上に持ち上げる”と意識していましたが、
実際は“床を押す”ように下半身で支えることで、自然と安定するんです。
それ以来、立ち上がる時には「足の裏で地面を押す」感覚を意識しています。
このイメージを持つだけで、重心が後ろに流れにくくなり、フォームも安定するようになりました。
2-1. 「少し後ろに倒れそうになる」その瞬間が一番危険
トレーナーによると、重心がわずかに後ろへずれると、
その分だけ腰が引けて、背中の筋肉に余計な負担がかかるそうです。
「一瞬のズレで腰を痛めることもあるので、
常に“足の裏全体で支える”ことを意識してください。」
実際、重心が後ろにいくと、かかと側ばかりに体重が乗って、
つま先が浮きそうになる感覚があります。
そんな時は、いったん止めて姿勢を整える。
無理に続けるより、そのほうがはるかに安全です。
50代になると、反射神経やバランス感覚も若い頃とは違います。
「なんとかなるだろう」と思わずに、
“怖さを感じた瞬間に立ち止まる”ことが、長く続けるための鉄則です。
2-2. 「お尻を引く」より「骨盤を立てる」意識へ
多くの人がスクワットの時に言われる「お尻を引いて!」というアドバイス。
これ、実はやりすぎると後ろ重心の原因になるそうです。
私も最初は“とにかくお尻を後ろへ”と思っていたのですが、
そのたびに重心がズルッと下がって、腰が反ってしまっていました。
そんな私に、トレーナーが教えてくれたのが次のポイントです。
「“お尻を引く”より、“骨盤を立てる”ことを意識してみましょう。
胸を張りすぎず、背骨をまっすぐに保つと自然と安定します。」
試してみると、驚くほどしっくりきました。
骨盤を立てることで、腰も背中もラクになり、
太ももやお尻の筋肉にまっすぐ力が伝わる感じがするんです。
14kgという重さでも、余計な力を使わずに下ろせるようになり、
「これなら続けられる」と実感できました。
2-3. トレーナーに教わった“姿勢の3つのチェックポイント”
トレーナーから、毎回のスクワット前に確認している3つのポイントがあります。
これを意識するだけで、フォームの安定感がまるで違います。
1️⃣ 目線はまっすぐ前(下を見ない)
→ 下を向くと背中が丸まり、自然と重心が後ろへズレます。
2️⃣ お腹に軽く力を入れて体幹をキープ
→ 背骨をまっすぐ保つための“支え”になります。
3️⃣ 膝とつま先の向きを合わせる
→ 膝が内に入ると、太ももの筋肉が正しく使えず、ケガの原因にも。
この3つを意識しながら動くと、14kgでもフォームがグッと安定。
特に「お腹の力」を抜かないことが、
“倒れない安心感”につながっていると感じます。
スクワットはただの「筋トレ」ではなく、“バランスのトレーニング”でもあります。
体の中心をどう保つか、どこに力をかけるか――。
50代の今だからこそ、フォームを丁寧に磨くことが、
ケガを防ぎながら成長する一番の近道なのかもしれません。
3. フォーム改善で感じた体の変化
スクワットを続けていく中で、いちばん大きく変わったのは「体の使い方」でした。
最初の頃は、太ももばかりに意識が集中して、トレーニング後は足だけがパンパン。
ところが、トレーナーのアドバイス通りにフォームを直していくうちに、
“体全体で支える”という感覚が分かるようになってきたんです。
3-1. 太ももだけでなく、全身で支える感覚
フォームを意識してスクワットを行うと、
太ももだけでなく、お腹や背中、お尻までも自然と使うようになります。
トレーナーがよく言う「全身連動」という言葉の意味が、ようやく実感として理解できました。
「スクワットは“足のトレーニング”じゃなく、“全身の連動トレーニング”なんです」
この言葉、まさにその通りです。
下半身を動かしているように見えて、実は体幹でバランスを取り、
背中で支え、腕でバーベルを安定させる。
体全体が一つのチームのように働いている感覚なんです。
筋肉痛の出方も変わりました。
以前は太ももの前だけが痛かったのに、今ではお尻や背中、腹筋の奥の方まで“効いてる”感じ。
「フォームを変えただけで、こんなに違うのか」と驚きました。
3-2. 姿勢を意識すると、日常生活にも変化が
スクワットの時に姿勢を意識するようになってから、
日常生活でも体の使い方が変わりました。
たとえば、電車で立っている時。
以前はなんとなく片足に体重をかけていたのが、
今では自然と“両足でしっかり支える”ようになっているんです。
立ち姿や歩き姿も、背筋がスッと伸びる感じがして、
「姿勢がいいですね」と言われたこともあります。
また、長時間のデスクワークでも疲れにくくなりました。
トレーナー曰く、姿勢が整うと“呼吸”が深くなり、
肩こりやだるさも軽減するとのこと。
スクワットは足腰のためだけの運動だと思っていましたが、
姿勢や呼吸、さらにはメンタルにもいい影響が出ている気がします。
「体を整える」という意味で、まさに全身トレーニングですね。
3-3. 「重量アップ」より「安定アップ」
以前の私は「次こそ15kgに上げたい」と、重さばかりを目標にしていました。
でも、焦ってフォームを崩したり、腰を痛めそうになったりして反省。
今は、「14kgをいかに安定してこなすか」を目標にしています。
「筋トレは“重さ”より“コントロール”です」
――トレーナーのこの一言が、心に残っています。
フォームが安定してくると、体のブレが減り、動作がスムーズになる。
筋肉の張り方も変わり、鏡に映る姿勢も自然ときれいに見えてくる。
不思議なもので、フォームを磨いていくうちに、
「そろそろ重くしてもいけそうだな」と体が教えてくれる瞬間があります。
そのサインを感じた時に、少しずつ重量を上げていけばいい。
トレーナーもこう言っていました。
「安定してできるフォームが身につけば、重さはあとからついてきます」
まさにその通り。
50代の筋トレは、若い頃のように“限界に挑戦”するのではなく、
“体を上手に使う”ステージに入っているのだと思います。
フォームを整えることで、単に筋肉を鍛えるだけでなく、
体のバランス感覚や姿勢、生活の質までも変わってくる。
それを実感したことで、筋トレへのモチベーションが自然と上がりました。
4. 50代が安全にスクワットを続けるためのポイント
スクワットは“筋トレの王様”と呼ばれるほど効果的な種目です。
その一方で、フォームを崩したり、無理に重さを追い求めたりすると、
腰や膝を痛めてしまうリスクもあります。
私自身も、始めた頃は「頑張れば結果が出る」と思い込んでいましたが、
50代では**「頑張りすぎない」ことこそ、長く続けるコツ**だと実感しています。
ここでは、トレーナーから学んだ“安全に続けるための3つのポイント”を紹介します。
4-1. 「無理せず限界の手前」で止める
若い頃のように「限界まで追い込め!」というやり方は、50代の体には合いません。
筋肉そのものよりも、関節や腱が弱くなっているため、
無理をするとそちらを痛めてしまうことがあります。
トレーナーからはこう言われました。
「“あと1回できる”くらいで止めるのが、50代の正解です」
つまり、余裕を残すくらいでちょうどいい。
追い込みよりも、フォームを崩さず“安定して続けられること”を優先する。
実際、私も「今日はここでやめておこう」と余裕を持たせることで、
次の日に疲れを残さず、継続がラクになりました。
結果として、ケガなく長く続けられるようになったのです。
4-2. トレーナーにフォームを見てもらう
スクワットは「シンプルな動き」に見えて、実は非常に奥が深いです。
自分では“できているつもり”でも、プロから見ると
「膝が内側に入っている」「腰が丸まっている」「重心が後ろすぎる」など、
小さなズレが積み重なっていることも多いんです。
私もトレーナーにフォームを見てもらって、初めて気づいたことがたくさんありました。
「背中が丸まると、腰に負担がかかりますよ」
「膝の向きはつま先と同じ方向に。体がブレにくくなります」
こうした指摘を一つずつ意識して修正していくと、
14kgでも安定してスクワットができるようになりました。
特に50代は、小さなクセがケガにつながりやすい世代です。
月に1回でもトレーナーにフォームをチェックしてもらうだけで、
安全性も効果もぐっと上がります。
4-3. 動画で自分のフォームを確認
最近はスマホで簡単に動画撮影ができます。
私もトレーナーに教わってから、練習の時はときどき撮影するようにしています。
客観的に見ると、
「思ったより背中が丸まっていた」「しゃがむ深さが足りない」など、
自分では気づけなかった癖がはっきり分かるんです。
それに、動画で見返すと成長を実感しやすいのもポイント。
以前よりもフォームがスムーズに見えたり、
体の軸が安定してきたりすると、モチベーションが上がります。
トレーナーもよく言います。
「自分のフォームを“見る習慣”が、安全への第一歩です」
重さを増やすよりも、まずは自分の動きを理解すること。
これが、50代のスクワットを安全に、そして長く続けるための最大のコツです。
フォームを整え、無理せず、自分のペースで続ける。
それが結果的に、筋肉にも、体にも、そして心にも良い影響を与えてくれます。
“頑張るスクワット”から、“育てるスクワット”へ——。
50代からの筋トレは、そんな意識の変化が大切なのかもしれません。
まとめ
バーベルスクワット14kg――。
数字だけ見れば決して重くはありません。
でも、50代の体にとっては“まだまだ壁を感じる重さ”です。
私も最初は、「もう少し上げられるはず」と焦っていました。
けれど、続けるうちに分かったのは、
スクワットは重さよりも、フォームがすべてということ。
トレーナーの言葉を思い出します。
「フォームを整えることが、いちばんの成長です」
この言葉の意味が、今ではよく分かります。
正しい姿勢を保ちながら、
呼吸を意識して、丁寧に動く。
その積み重ねが、体を守り、確実に強くしてくれるんです。
14kgのバーベルでも、きちんとこなせた日は達成感があります。
そして、少しずつフォームが安定していくと、
不思議と心まで安定してくるんですよね。
“重さを上げる”ことよりも、
“自分を整える時間”としてスクワットを続けていく。
それが、50代の筋トレの楽しみ方だと思います。
今日もバーベルを担ぎながら、
「昨日より少しだけ丁寧に」を心がけて、
自分の体と向き合っていきます。





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